雨がザーザー降る、今日この頃のニューヨーク。
しかし雨であろうがなんだろうが、お祭りは開催。
タイムズスクエアの一角を占領して開かれた通りのお祭りをふらふらしていると、In the Heights(イン・ザ・ハイツ)の看板が。
先日6月15日にラジオシティーで行われたトニー賞受賞式で見事、最優秀作品賞を受賞した作品。
翌日のフリーペーバー(amny)のカバーも飾って堂々と受賞をアピールしてたっけ。この後が一番の稼ぎ時ですからね。
以前にもご紹介したとおり、ニューヨークは地区別に色々な民族が住んでいるところ。
この作品はワシントンハイツというラテン系移民が多く住む場所を舞台にした作品。
小さなご近所で起きた、たった3日間の出来事をサルサやヒップホップなど軽快な音楽に載せて話が進んでいく。
ラテンアメリカ人が持つ夢や希望、彼らが抱える故郷への憧れと更にはラテンアメリカ人とアメリカ人のアイデンティティーのギャップを映し出している深い裏主題もあり。
アメリカで一番大きな移民グループとなるラテン系の悲哀、希望をリアルに描いた社会派ミュージカルといえるだろう。
音楽もミュージカルの中にヒップホップやサルサを導入した点で新しい。さらには、ラップの要素も加わっている楽曲は複雑で斬新な感じがある。
前年度にトニー賞を受賞したミュージカルは、スプリングアウェイクニング(Spring Awakning)という思春期の少年少女の葛藤を描いたミュージカルである。
そのリアルな表現とロックミュージックの奇抜さから高く評価された。
そもそも最近の社会派ミュージカルの起源といえば、レント(RENT)ではないかと思う。
レントはイーストビレッジに住むジャンキー達の物語。
夢を追いかける明日の見えない若者達の実態を映し出した。ドラッグ中毒やエイズ患者、ゲイといった人々を大胆にも主人公にし、当時のミュージカルの流れに殴りこみをかけた作品である。
脚本、作詞作曲全てをジョナサン・ラーソンひとりで手がけた彼の最初の作品である。
しかしながら、プレビュー公演前日に35歳という若さで急逝してしまう。
レントはオフ・ブロードウェイで始まったが、すぐにその斬新さでブロードウェイに昇格。伝説的な記録を作るのである。
レントの登場時は衝撃的だったが、もうそろそろ社会派ミュージカルのはいいんじゃないかなぁと思うのである。
特にこの手のミュージカルはヒットしにくい。
全年度受賞のスプリングアウェイクニングはブロードウェイでの公演は2008年5月末には終了して現在は地方公演中である。
大ヒットミュージカルはブロードウェイで公演が続き映画化されるのがお約束。
今年受賞のイン・ザ・ハイツもいつまでブロードウェイにいるかは分からないものである。
ミュージカルは娯楽なのだからおもいっきりエンターテイメントのものを作ったほうがヒットするのである。オペラ座の怪人とか、ライオンキングがその典型である。
もうそろそろ社会派ミュージカルを卒業して、もうちょっと違った目新しいものがほしいというのが個人的意見であり、多くのミュージカルファンの本音じゃないかと思う。
社会派の親、レントの初公演は1996年、それから大ヒットを記録して残念なことに2008年9月7日の最終公演をもって幕を閉じる。
伝説的なミュージカルの終わりは悲しいものであるが、社会派ミュージカルなだけに時代がたってしまうとちょっと古く感じてもしまうのも否めないのである。
2008年6月29日日曜日
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