2010年8月19日木曜日

Dix Mountain(ディックスマウンテン) -レンジャーさん-

さて、やっと3日目の朝です。

今日は、早々にテントや荷物を片付けてテント場から歩いて1時間程度の駐車場に戻ります。

それから5-6時間のドライブでNY市内に帰る予定です。

このキャンプも終わりで、なんとなくホっとしていたところで、

ベアラインの中をチェックしていた旦那さんに、「はい、君らのベアラインに入れていた荷物。」といって手渡され、中に歯磨き道具が入っていないのがバレたようでした。

彼の目には鋭い光がありましたが、あえて気づかなかったふりで通しました。

全員荷物をまとめて、テント場から駐車場へのなだらかな山道へ。

相変わらず杖で石をたたいたりして音を鳴らしている夫婦でしたが、そんな音も今では慣れてバックミュージックぐらいに感じていました。

30分くらい歩いたところでレンジャーの方にばったり会いました。

彼は退役軍人で、この近辺の山のレンジャーになって10年という方でした。

足腰もまだまだしっかりしていて、話し振りも山の歴史を知っていて、大変興味深く全員尊敬のまなざし。

私達の話を全く信用していなかった夫婦をここでギャフンと言わせてやろうと、よっぽどこのレンジャーさんに熊がでるか聞いてみようと思いましたが、それはあまりにも性格が悪い質問だなと反省し、大きく深呼吸してその質問を飲み込んだ瞬間、

旦那さん「ところで、この山って熊がでるんでしょ?」

レンジャー「出ないから心配する必要は全くないよ。

奥さん「この山はガイドブックには熊注意警報がでていたんだけど。」

レンジャー「アディロンダックって山は広いだろ。もっと南の方に行けば多少でるけど、100回登って一回見るか見ないかくらいだよ。私はこの山を何千回と登ってるけど見たことはほとんどないよ。それに熊の方が人間を怖れているから、自分から逃げ出していくよ。」

奥さん「でも熊が出たとき用に、私達鈴買って常に鳴らして、バッグにもつけてたんだけど。」

レンジャー「あぁ、その鈴はグリズリーベアー用だから、この辺の熊には何の効果もないよ。」

奥さん「・・・あなた、私の鈴しまってくれる・・・」バックパックに下がっている鈴を静かにしまう夫。

このレンジャーさんと別れた後、このキャンプで初めて静かなひとときが4人の間に流れていました。

木々のざわめき、緑がなんときれいなことかと、その時改めて自然に目がいきました。

残りの30分はお互いが気持ちを落ち着けるのには十分な時間だったのではないでしょうか。

帰りの5時間のドライブ中ふと、なんであのレンジャーさんに最後の最後で出会ってしまったのだろうと思いました。

せめて一番最初に会いたかった。。。

帰り道、キャンプの話題はふれても4人の間で“熊”という言葉はタブーワードになっていました。

ただ、トランクの中から時折リンリンリンと聞こえるだけで。

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